2009年4月8日水曜日

ブータン旅行記2日目

ブータン2日目

バイオ・ブータンというドイツ人女性とブータン人女性の会社を訪問。
ブータンで活動している外国人企業家がどんなことをしているのか興味があったからだ。
イレメラさんは農業研究が専門の、ブータン人と結婚したドイツ人女性だ。
完璧に無農薬なレモングラスの精油とそれから作ったエアスプレーをヨーロッパに輸出している。国内向けにはジンジャーパウダーとターメリックパウダー。ブータンの王室関係者も愛用しているらしい。

18ヶ月後にはブータン伝統医療と薬草の知識を取り入れた石鹸の開発が完成する予定だそうだ。原料生産から加工・ラッピングまで全てブータンで行うには技術提携が必用だ。ブータン国内にはまだそれだけの技術も機械もない。それら全ての問題を解決し、製品完成にはその位の期間がかかるそうだ。
敏感肌の私としては、是非ともその石鹸を早く製品化してもらいたいと思う。

オーガニックレモングラスプロジェクトについての詳細は
www.moa.gov.bt/downloads


次はブータン伝統医学病院を訪問。





タイ伝統医学と似たような概念のブータン伝統医学の勉強・実践の場だ。
薬の原料を見せてもらい、ついでに診察をお願いしてみた。
アレルギー・不眠体質の改善について相談。
脈診・目・舌の観察、爪を押す、などを行う。
「時々頭痛とかめまいするでしょ?今特にどこが悪いというわけじゃないけど、風の要素が体質的に弱いからアレルギーが出たり、夜眠れなかったりするんだね。薬を3週間分だすから。苦さを補わないとね」。
ゾンカ語の処方箋を貰い、病院の薬局へ。
薬はこんな感じ。(朝・昼・晩でそれぞれ効能が違う)
特に朝用の丸薬は噛み砕けとの指示通りにすると、ものすごい苦さで。。。。効くに違いない。。





今までヘルニアなどで漢方医や鍼灸師に見てもらった事がある。大体同じような事を言われる。生物として生命力が弱いらしい。
薬を貰った段階で気がついた。ブータンでは医療が完全に無料だということに。
でもまさかそれが旅行者である私にも適応されるとは思わなかった。
本当にすごい国だ。

次はAshi Keznag Wangmoの社会福祉の家と隣接するティンプー国立推薦病院へ。
ブータンで一番人口密度が高いのは病院だと判明。
皆昼間ここにいるから市内は人が少ないのか?と思うくらいブータンにしては混雑していた。患者一人に対して、付き添いが3人位いるだろうから、実際の患者数はあの30%位だろうけど。それにしても医者不足はどこも同じということか。

病院内を歩いていると「ダイエットクリニック」というのがあったので行ってみる。
ブータンで肥満が増えてるのか?でぶは見ないけど、と思って聞いてみた。
ブータンでは糖尿病が増えているとか。食生活がでんぷん質中心で野菜不足になりがちというのが問題らしい。アドバイザーはインドケララ州出身のダイエティシャン。私の質問に答えてくれるほど暇そうだったので聞いてみる。やはり、医者にここに行って生活習慣に関するアドバイスを貰いなさいと強く言われた患者がしぶしぶ来るだけらしい。
ブータンでダイエットクリニックは似合わない?と思ったがそんなものだろう。

午後は本日のメインイベント、観光庁のダイレクター、ケサン・ワンディ氏インタビュー。
今は観光庁にいるが、以前はGNHコミッションにもいたことがあり、首相に同行して日本などへのGNHセミナーに参加していたらしい。GNHの概念について簡単にレクチャーして頂いた。

要約は以下。
*GNHとは、幸せになる方法ではなく、最終的ゴール(皆が幸せでいられる状態)に到達するための包括的なアプローチである。
*それには、安定的な収入・伝統と文化の保護からくる精神性・汚染の無い環境・良い統治=国民のためのサービスを行う行政、法治、汚職のない政治などがあげられる。
*他の国では憲法に「幸せになる権利」を謳いながら、その方法を政策として考えていないが、ブータンはそれをやっている。それがGNHの概念である。
*現時点で、シンガポール・タイ・ブラジルなどが国家ポリシーとしてGNHの概念を取り入れることに興味を示していて、アプローチがあるらしい。国際社会からも大きな支持を受けている。
*第5代国王殿下がこれからしようとしているのは、現在生活とGNHの融合だそうだ。GNHコミッションとCBGがGNHという大きな概念を小さな項目に分類し、数値化出来る方法を捜索中だ。この数値化が確立されれば、国際社会もGNHを国策として取り入れやすくなるからだ。
*なぜ、ブータンはGNHに力を入れているのか?
 ブータンには億万長者はいない。貧困層はいるが、ホームレスはいない。なぜなら、社会が人民に与える平等性にこだわっているからだ。GNHという概念を実社会に反映させる作業はブータンではうまくいっているが、他の国家でも同じように出来るとは限らない。状況が違うからだ。でも、その国家の現状にあったやり方で少し方法を変えながらGNHを取り入れていくことは可能だろう。
*GNHを理解するためのキーワードは「個人と社会のつながり・全体的な視点」。

さて、ここからはケサン・ワンディ氏の本職である観光について。
ブータンは旅行者に対し、滞在1日に対し一人200ドル制度を課している珍しい国だ。当然これにも理由がある。

ブータンの観光は、GNHの概念に従っている。質を高く、量を少なくということだ。GNHに従えない観光客は来てほしくないということ。しかし、観光客がどんな人なのか、チェックする方法はない。一人ひとりビザを支給するたびにインタビューをしたり、バックグラウンドを調査するわけにはいかない。というわけで、とりあえず1日200ドルという規制を入れることで、道端に寝泊まりするようなバックパッカー、現地の女性を安く買えるからという理由でくる性病蔓延の元になるうる旅行者などは排除されるだろうというわけだ。観光収入が増えれば、病院などを作ったり必要な経費を補ったり出来る。だがそれで文化・伝統を損なっては意味がないと考えるからだ。周辺各国でおこっている現象を観察する。観光化により、人口が都市に集中。人は農業を捨てて観光客相手の仕事を得ようとし、10年後にはその国の農業はだめになってしまう。確かに今の観光政策だと観光収入による国家財源は増えないが、「全体的な視点」から見ると、最終的には損にはならないということだ。バランスが大切だ。

現時点では主に伝統と文化を売りにした観光政策だ。次の企画はエコツーリズム、スパ・メディテーションツアーらしい。もちろんこれらも全てGNHとつながっているべきとのこと。ブータン伝統医学と精神的文化であるメディテーションなどを組み合わせた「全体的癒し」をコンセプトにしたツアーだ。死の受容などについても学べるツアーも出来ますがと聞いてみた。もちろんです、と話は弾み、最後に第4代国王殿下の伝記をプレゼントとして頂いた。内容はこれからゆっくり小出しにして紹介していこうと思う。



夕方、コーディネーターのケサンさんが迎えに来てくれた。彼女の運転手つきの車で家に向かう。後で知ったのだか、一般人は中々入ることの出来ない王族の住む丘へ特別ゲートを通過して入る。途中、ここが第4代国王殿下の4人のお妃さまの家、と一つ一つ彼女が教えてくれる。かなり上まで進み、彼女の家へ。


運転手と食事係と掃除・洗濯係の男性が3人仕えている。門番は犬。



昼間はどこかに出かけているが、夜には必ず戻るらしい。
居間でアルバムを見せてもらう。



ケサンさんは王女だよね?と聞くと、「ブータンでは両親が両方王族出身だった場合のみ、王女となる。私は父親が一般人だから王女じゃないの。でも母は王女。この家は母の家だから住んでるけど、母に何かあれば私も下の町に降りて生活することになるかもね」。とはいえ、現国王殿下とはいとこの関係にあるわけだ。そんな方とは知らずに今までずっとメールやりとりをしていたのか。。。彼女は高校をタイで、大学をオーストラリアで出ているので外国人の友人も多い。話をしていても普通の友達感覚だ。
そのあと、彼女の夫の実家へ行き皆で夕食。義理の妹さんもオーストラリア留学経験があり、話が弾む。中国留学時代の留学生仲間を思い出した。向こうも同じだったようで、元ルームメートの日本人女性の話などが出てきた。
ブータン人は驚くほど国際感覚がある。多くの学生が国費で海外留学を経験しているからだ。海外の便利な生活の後でもやはりブータンでの生活を選ぶと言っていた。

2 件のコメント:

  1. Satoさん、
    今、やっとビザが1日200ドルもする理由が分かりました。正直ビザ代は高いけど、でもそこまでしてでもブータンを一度訪れてみたいと思う人が多いのも分かりました。
    もしタイで同じ政策をしたら、どれだけ外国人が減ってしまうのかな・・・とも一瞬思いました。
    どの写真も興味深いですね。
    これからも引き続き旅日記読みすね。

    Miki

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  2. そうなんですよ。
    でも200ドルかける価値はあると思います。
    是非入国を果たして下さい。

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